金融市場を動かす経済情報
今週は先週末の欧州の銀行ストレステストの良好な結果を受け始まったが、ユーロ圏の国債利回りは上昇し、株価も軟調な展開と冴えないオープンになった。先週13日に米格付け会社ムーディーズが、そして14日にはS&Pが、現在AAAの米国債の格付け見通しを「ネガティブ」に引下げると発表していた。来月2日に迫る債務上限引き上げ期限を前に、米国債の利払い停止など、債務不履行(デフォルト)と目される事態が発生することに懸念を強めたことが背景にある。
ただ19日には、オバマ米大統領が「債務についての協議で一定の進展があり、意見の溝が幾分狭まった」などと発言し、全般的にドル買いが強まっている。それでも債務上限引き上げ問題がドル相場の重しとなっているのは、オバマ大統領が、議会での法案審議に要する日数を考慮し、合意の期限を本日7月22日に設定していることにある。ただ実際には、多少の時間的余裕があるとみられ、事実上の最終期限は7月最終週になる可能性が高いと見られる。
格付け会社フィッチのリポートによれば、「債務上限が引き上げられなければ、900億ドルの財務省短期証券(TB)が償還を迎える8月4日に、同社の格付けを付与された米国債のデフォルトという最初の試練が訪れることになろう」とコメントがある。時間的な余裕はなく、刻一刻と迫っているデフォルト懸念の思惑が、ドル相場の上値を重くすると思われる。ドル売り圧力によるドル円の下落や、クロス円の上昇を見極める必要があろう。一方のギリシャへの支援問題では、21日開催のユーロ圏首脳会議で、期待通り無事に通過できた。市場では今回の取りまとめを好感し、リスク投資姿勢を強めユーロが強含みとなった。
内容は、
- 1090億ユーロのギリシャ支援第2弾
- ギリシャ向けローン金利の約4.5%から3.5%程度への引下げと期間延長(融資期間はこれまでの7年半から最短で15年、最長で30年に延長)
- 欧州金融安定化ファシリティー(EFSF)の機能拡充(財政難に陥ったユーロ圏加盟国の国債を購入する権限が付与、購入はECB による異例の環境との判断と加盟国の同意が要件、銀行資本増強や投機抑制のための信用供与など)
- 民間セクターの関与は370億ユーロとする事
などが決定された。
また、欧州中央銀行(ECB)のトリシェ総裁は、「民間の関与によりギリシャ国債が選択的デフォルトとなっても、ユーロ圏政府による350億ユーロの保証があるため引き続き担保として受け入れる事は可能」との見方を示した。ユーロ圏首脳会議での危機抑制で一定の成果を上げ、ユーロ相場では経済指標を確認する余裕がでてきているため、22日発表のドイツの7月 IFO企業景況感指数で景気減速を示すならば、ECBの利上げ期待が後退して、ユーロ売りが強まる可能性がある。今週はユーロが急激に上昇していることや、週末要因も含め注意が必要である。
また、秋のギリシャの国民投票などリスク懸念は続くと思われ、ユーロの下落リスクは当分の間意識しておかなければならない。